Platon and Aristoteles in Academeia[1]
名前や居場所を一切明かさない異星人との交流はかれこれ30年以上続いた。
カレらはある日、私の心の中に現れてきて、ある時は私のように振る舞い、ある時は別人のように振る舞った。カレらは私の良き助言者であり、私を滅ぼす悪魔だった。どちらも私を引き付けてやまない魅力があった。カレらは私でなくとも思わず聞き入ってしまうだろう数多くの情報を持っていた。カレらは私の中で、私が忘れ去ったであろうイデア(理想像)を形成した。私はその世界から逃れることはできなかった。私はその魅力にどんどんと引き寄せられていき、やがて、私はそのイデアの周りを回るだけの小さな惑星のようになった。
これを妄想といってしまえばそれだけなのかもしれない。自分の中に別人を見いだすことは離人症かなにか、心身症の類いにも思える。これが普通の人なら、そんな妄想は捨て去ってしまうのかもしれない。だが私はそうはならなかった。客観的に見て、カレらは明らかに私ではなかったのだ。
このときから、カレらが何者であるかを問いただす、私の長い旅が始まった―――
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1. ^ The school of Athens by Raffaello Santi[2] 2. ^ Raffaello Santi |