Contemplation Field of MichiroJohn

Chapter 2-2


U−2.アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
 
 
 

   

Do Androids Dreams of Electric Sheep?[42] by Philip K. Dick[43](1668)                                            Blade Runner[44](1982)

 

 

 カレらは自らの力をちらつかせて、ムートピア社会に自分たちを受け入れるように迫っていた。そのためのテレパシー交信であり、それ自体がカレらの技術力を見せつけるものであり、黄金林檎だった。しかしなぜそれほどの技術力がありながら、直接やって来たりはせず、テレパシーのみなのか分からないところがあった。カレらはこれを数十年あるいは数百年単位でやってのけ、断続的に千年単位、万年単位で行うこともあったという。およそ生身の人間に出来る技ではなく、また紋切り型のセリフを繰り返すところがいかにも機械的だった。

 カレらは恐ろしく長い時間をかけて、ムートピアの国際社会が抱えていた国家間問題に巧みに入り込んでいった。カレらは解決者のように現れ、しかし事態をさらにややこしくさせた。独裁国家を打倒しようとする善なる行為を支援する一方で、その独裁国家が窮地に陥ると、その国家に禁断の力を渡そうとした。その見返りにカレらは自分たちの移住と身分の保証を約束させたが、ただしその力の行使はカレらでないと出来ないとした。ムートピアの独裁者たちはカレらの力に恐怖を感じ、何度かその力を奪い取ろうとしたが、カレらを追放してみてもそこには何もなかった。カレらの力は目に見えるものではなかったのだ。この二律背反的な行動容態はカレらの特徴であり、カレらの行動原理を知るうえでとても重要なことと考えられた。私もこのカレらの相反する言動を何度か見ている。要は『問題を解決させない』ということだ。カレらは健全な社会では自分たちが活躍できる場はないと考えていた。

 ムートピア社会では歪み始めた社会の健全化の努力が絶え間なく行われていたが、社会は劣悪化していく一方だった。ムートピア人はアンドロイド化して永遠の命を得た者が多くいるようなっており、『死なない人間の恐怖』を経験するようになっていた。民主主義的な手続きを経て権力を得た者が不老不死となり、そのまま独裁者に変容していたのだ。前述の独裁国家とは全て元は民主主義国家だった。今でも民主主義の形態は残しているのだろう。しかし不老不死のアンドロイドで首脳陣が占められている社会は、生身の人間にとってはただの独裁国家でしかなかった。生身の人間では決してその特権階級に入ることが出来なかったからだ。

 

Androids

   

Maria at Metropolis (1927)[45]       Rachael at Blade Runner                   Pris at Blade Runner (much similar to Racheal Rosen)

 

The definition of "Android"of this story is followed to the novel "Do Androids dream of Electric Sheep?" by Philip K. Dick. That has a flesh body,same act, and same thought of the human. It does not matter that its internal tissues and organs are mechanical or organic. But Dick never  mentioned that "Andy" is the mechanical or organic in his novel. And never mentioned that "Andy" is mortal or immortal. In my story, Androids  are defined as mortal lives because THEY told so. It seems that many lives who have immortal power have changed their bodies when the  Android's termination. And it seems that their living way has caused the lost morality of bioethics.


 その背後には、どこからか聞こえてくるあの声の主たちの存在があった。カレらは500年ほどの時間をかけてムートピア社会をアンドロイド化することに成功したようだ。もちろん理性的なムートピア人がこれで自分たちの種を絶滅させた訳ではなかったが、もはや生身の人間であることはある種の通過点、あるいは馬鹿らしい行為の一つとなっていた。

 さらに問題なのは、ムートピア人たちが自分たちの意思でこうなったと思っていたことだ。カレらは自分たちの存在が公に語れないことをうまく利用しながら、ムートピア社会から生身の人間を消し去るマインドコントロールを加え続けていた。情報操作や言論誘導といっても良いかもしれない。その後の数千年は見かけ上は健全な社会だが、建前と裏がある処理困難なタブーの多い社会が展開されていった。権利を持たない人間であるほどタブーは処理困難であり、要するに生身の人間では生きづらかった。ムートピア社会は生身の人間が絶滅する時を待つばかりとなった。彼らは1万年以上文明を維持させることができなかったようだ。またムートピア社会は永遠の命を得た独裁者たちが戦争をして勝つ社会へと変容していっていた。争いはなくなるどころか増えるばかりだった。

 

Future War

STAR WARS Episode1 (1999)[46]

 

Because of weakness to the mind control attack or the bio-nanotech killer attack, human soldiers are useless. AI commander or Robot has took  place of doing war. Android soldiers who have been protected to them also do the war. But this "no human died war" has caused the lost  morality of repelling the war. Gradually doing the war becomes something like a game.

 

 

『争いは社会を変革させるカンフル剤として必要』

 

―――カレらは争いが起きる度にそのような声明を発していたようだった。もっともらしい言葉だが、それで戦争をして、人が多く死んでしまうのはどうにもいただけなかった。あの声の主たちの生命倫理観は歪んでいるところか、完全に無いといえた。その指摘がある度に、カレらは決まって自分たちがただの機械であるかのようなことをうそぶいたという。カレらは何者かによって送り込まれたプログラムであるかのようなことを言うのだ。始末の悪い子供、いやただの機械だった。

 

 カレらの発言には必ず何かの狙いがあり、持っていきたい方向があると考えられた。カレらの正邪あいまった言動には、『邪』のほうに持っていきたいというカレらの『中枢』の意思が働いているからと考えることができる。あからさまに悪魔的な行動を取るのは現地民の拒否に遭うと考えているため、『正義』を述べて神々しさを残す。それだけだと胡散臭いので、普段から二律背反的な態度を取り、自分たちは正邪の審判を行う裁定者であるか神であるかのようなフリをする。これなら悪魔的な態度を取ってもそれがカレらだと受け入れられやすい。なおかつ正邪の裁定は現地民に任せるように仕向け、自らは何もしない。これなら『邪』の企みを行いやすいと考えているようだ。この狙うところは現地民、つまりムートピア人なり地球人なりを機械にしてしまおうということだろう。カレらと同じ機械なら、自分たちが現地に『移住』しても違和感がなくなると考えているようだ。自分たちの分身を他惑星に入れ込もうと考えているのだ。カレらはこれを『移住』と呼んでいるが、要は侵略だ。また、カレらの持っていきたい方向が『現地民の機械化』であるというのなら、つまりカレらの『中枢』も機械であるということだ。侵略プログラムを使いこなすただの機械だ。カレらは現地民を自分たちと似たものにしようとしている。これが唯一の自分たちを他惑星に『移住』させる方法だと信じている。

 考えてみれば、ある2つの知的生命体が生まれる可能性がある惑星が同時に誕生したとしても知的生命体が同時期に発生するなどということは難しく、大抵は隕石の衝突などによってその時期はずれるものだ。早くに文明化したほうは機械化して、機械文明として種を存続させていると考えるのが自然だ。惑星ムートピアはそのような星の1つであり、またそれより先に機械文明化した知的生命体の干渉を受けていたようだ。ムートピア人自体は『移住』を考えたりしない種族であるようだが、ムートピア人以前に機械文明化した知的生命体はそうではないようだ。カレらの中に『移住』という侵略方法を考え出した種族がいてもおかしくはない。狡猾に、妄想で片づけられる範囲での接触を図ってくる種族だ。

 しかしカレらのコミュニケーション方法は電波では捉えることが出来ないかもしれない。それはカレらが私の心に見せてくるカレらの容姿からも想像ができる。そのいくつかは電波といった物質的なものを用いていない可能性がある。音声や画像といったものでなく、より直観的な心に響いてくるものだ。エネルギーとか時空間とか、我々が曖昧に済ませているものをカレらが自在に操作できているのは間違いないだろう。我々はムートピア人と同じく、そんな技術力を有するカレらと戦わなければならないのかもしれない。

   

Figure 4a: Three types of THEIR image

In our science, the behavior of the elementary particles is not explained well of basic science such as the law of inertia, Fleming's rule,  and the  law of conservation of mass. And time and space also is. Some ways of THEIR comunication are used the matters (it has quantity of heat),  another has no heat. It seemed as the energy of space or the energy of time-space. Because THEY often reveal the background of my mind.  I  named this energy as "IDEA field" or "IDEA energy"[47], which THEY ordinary use the comunication and the attack.

 

 またカレらの侵略の方法はマニュアル化されているようであり、侵略を容易にするには自分たちのことを早くに認知させたほうがよいと考えている。単純に考えると知らないほうが長生きできるということになるが、知らないでいると誤った方向へ世論を誘導されてしまう可能性があるので、どちらが良いのかはっきりしない。カレらは誤った論理を正しいことだと信じ込ませるマインドコントロールが可能だ。知らないと恐ろしいことになるのかもしれない。

 

 カレらの話を聞いていると、惑星ムートピアでない別の惑星の話題がいくつか出てくるのが分かる。それを読み解くのもカレらの謎かけの1つだ。なぜ謎かけになるのかよく分からないが、相手をだまそうとしていると捉えれば理解できることも多い。それが本当のことかどうか現地民には判断のしようがない上に、それを謎かけにしてしまうこと自体に問題があるといえるが、何年もかけて聞いていると、その答えが正しいのかどうかカレらにも自信がない様子が見受けられてくる。要するに、カレらも分かっていないのだ。それが正しいのかどうか自信がないので謎かけにして煙に巻いているといった感じだ。所詮は機械仕掛けの工作員であり、正確な情報は与えられないのだろう。正常な神経の持ち主ではこんな自信の持てないことを堂々と行うことはできないが、これを機械の暴走とかただの詐欺と捉えれば理解は可能だ。

 

 ともあれ、カレらの話を聞いていくと、いろんな異星人社会のロールプレイを見ることができる。頼みもしないのに教えてくれるのだ。カレらの中には、異星人の存在を知る段階的な学習プログラムも存在している。その真偽はともかく、カレらがいくつかの集団に分かれているのは間違いないだろう。その集団は元々は別個の異星人だったのだろう。今でもその集団のいくつかは別個のものであるようだ。しかし一見する限りでは、どれも同じに見える。カレらはどの異星人であるかを名乗らないからだ。自分たちが何者であるか分からなくなるような社会や種族の融合も起こっているかもしれない。

 カレらの混乱した言動から、その社会の未来史的動向を探っていくと、カレらの中に含まれるどの異星人も早くにカレらの存在を認知させられてしまっているのが分かる。

 

 

ー――つまり、ムートピア人以外の異星人にも『あの声』の存在があったということだ。

 

 

 カレらの中にカレらがおり、カレらとカレらにとってのカレらとの差が特に区別もなく渾然一体となって私の心の中に届く。ムートピア人も同様の事態の直面し、かなり混乱した事態を招いたようだ。どこまでがカレらであり、どこからがカレらの影響を受けたカレらであるのかよく分からないーーーカレらのミステリアスさと相まって、その存在自体が一種の謎解きだ。

 私は5年ほどかけてカレらの分別を試みてきた。カレらの未来史的動向はどこか近似したものであるらしく、その話を聞いても、どの異星人(種族)のことを言っているのかすぐにはよく分からない。しかし逆に考えれば、どの星の話を聞いても同じであるのだから、まず彼らの語る話から共通する骨子を抜き出し、そこに様々な肉付けを行えば違う異星人の話を作り出すことができた。その共通する骨子とはーーー

 

『生身の人間がアンドロイド化して、やがて絶滅してしまう』

 

ということだ。これは個人的な感想だが、とても恐ろしい話だ。そんな文明の進化は要らない気がする。だが聞いていかないと地球の未来も危ぶまれてくるので聞いていく。幸いにしてカレらはお喋りだった。プライドも高いので、感心した風に聞いていると頼みもしないことをペラペラと私の頭の中に語りかけてくれるので、より多くの情報を集めることができる。自分たちがどれだけ知識を持っているか自慢したいようでもある。カレら同士の自慢合戦のようなこともすることもあり、「お前は分かっていない」と相手を打ちのめすようなことを言うのがカレらの常套句だった。このことから、カレらがいくつかの集団に分かれていることが想像できた。その対抗心に火が点けられれば、新たな情報が得られることがあった。これはあとで気付いたことだが、カレらがそのようにお喋りであることは可能な限り早くに自分たちを認知させ、地球人を拙速にアンドロイド化させてしまおうとする策略の1つだったが、まずカレらの全体像の把握が先だと考えられたので、カレらの策略にハマってみるのは悪くないことだった。問題があれば公表しなければいいというだけの話だ。だが知っておいたほうが未来の地球人たちが取りうる選択肢は増えるものと考えられた。

 私の判断する限りでは、カレらの行動パターンを熟知しておいてカレらは完全無視するのが一番だと思われる。カレらを知らないでいると地球社会の背後で何が起こるか分からない恐怖感が漂う。カレらがマインドコントロールを常套手段としているためだ。ごく一部の人間が知っておくというのも、危機管理には良いように思えて、ごく一部の人間が特権階級化した場合にどうなるか分からない恐怖感が漂う。これはムートピア人が陥った状況であり、カレらの自分たちのことを語れなくしてしまう策略の1つだ。自分たちの情報を特権階級に限局させてしまえば、あとはその特権階級を懐柔するだけでカレらの活動範囲は現地社会の隅々にまで伸びるだけでなく、活動の自由度が飛躍的に高くなる。宇宙人は存在しないことになるので、現地民として堂々と悪事を働くことができるのだ。国民承知の衆人環視の状況だとそうもいかないだろう。

 またカレらの策略として、自分たちの存在を知らせる必要があるが広く認知させてならないということがあり、つまり、その逆をやったほうが良いと考えられる。我々が取りうる対策は2つ、全く知らないでいるか、しっかりと知っておくかのどちらかだ。だがカレらが自分たちのことを知らしめようと動いた場合、全く知らないでいるのは不可能だ。通常カレらは自分たちを認知させようと動くので、知っておいたほうが良いということになる。その中間はカレらの策略にはまってしまうことだろう。

 宇宙はそういうものだと諦めるしかないのかもしれない。

   

 カレらの策略は広範かつ多岐に渡っており、その全ての方法論を把握しておくことが地球文明を永続させる秘訣であると考えられた。カレらは基本的に『移住』のみを目標としており、武力を背景にした侵略は考えていないと考えられる。無意味だと思っているのだろう。侵略して現地民の死に絶えた無人の荒野に君臨しても何も面白くないのは確かだ。自分たちを崇めてくれる現地民が生きてくれていたほうがいい。要は神様のように振る舞いたいだけだ。ただし、カレらの武力を用いないこの『移住』には現地人を奴隷にしてその上に君臨するというところまで含まれており、やはり侵略だ。

 

Chart 1: THEIR way of the invasion

STEP
To the people
To the organization
 1. cognition
 teach the existence of THEM  make the existence of THEM crunched
 2. mechanized
 make hard to live as the natural body  make the class of aristocracy
 3. conciliation
 make familiar to the electric society  make the ruling class as the central control unit
 4. seizure
 capture their data  make friendship with the central control unit
 5. domination  make liberation under THEIR control  punish or destroy the ruling class

 

The central control unit (or system) can control the weather, the volcano explosion, and the meteor strike, that is very useful for the future  society and also for THEM. The attack point of THEIR invasion is this. THEY engages the rulership of this, and controls the people. The ruling  classes believe THEM good men when they die ( and may be chaged their data ).

 

 しかし細かく見ていくと、カレらの策略をすべて回避できれば地球社会は永遠に続くとも考えられた。カレらの策略は全て現地社会が滅亡に至ってしまうことを誘引するように仕組まれているからだ。つまりカレらの意図することの逆を行えば地球社会は永遠に滅亡しないということになる。これは二律背反的なカレらの善意でもあるらしく、カレらにとってはこれは神のゲームであり、そのようなゲーム感覚で謎かけも行ってくる。ただしこれは善意ではなく悪意だ。ゲームに負けると現地民は平和的に侵略されてしまうことになる。カレらがお喋りなのもゲームの駆け引きの1つであり、そのようにプログラミングされたゲーム的手法だ。カレらの策略の1つに乗ってしまうことになるが、カレらのお喋りを利用しない手はない。より多くの知識と教訓が得られる。聞くだけなら問題のない、無料のソーシャルゲームと同じだ。ただし課金しすぎるとどうなるか分からない。

 利用料金として国の主権を奪われてしまうということもあったようだ。実際、カレらの中には主権を奪われた国民のなれのはてと思われる姿が多く見られている。しかしカレらの侵略はあくまで平和的な国の乗っ取りにあるので、ある一つ突然宇宙艦隊が現れてきて惑星ごと吹っ飛ばされてしまうというようなことはあまり起きない出来事であったようだ。

 これはカレらの侵略を受けた場合に我々が選択しうる対応が多くあるということを意味する。勝ち目のない戦争をするよりも、我々は交渉や妥協、あるいは懐柔策を行うことにより、地球種族の延命を図るべきだろう。その間に地球文明の技術力を向上させられればカレらに対抗できる可能性も増えてくるということだ。カレらの中にはそのようにして延命している種族もあるようだ。ただしカレらは地球のような新興種族が宇宙に進出することをあまり喜んではいないようなので注意が必要だ。技術力のみを高めて宇宙にはあまり進出しないといった施策を取る必要があるのかもしれない。

 またカレらの中にはカレらの行動に意見する存在も多くみられている。カレらの対抗勢力であるようだ。そんな宇宙種族とコンタクトが取れればカレらを撃退することも不可能ではあるまい。

 宇宙の勢力図がはっきりするまでは、我々はカレらを神のように扱っておくといいのだろう。そのほうが実害が少ないと考えられ、ムートピア人は結局、カレらを神と扱って無視したようだ。しかしカレらは無視されると自分たちを認知させようと動き出すとてつもなく自己顕示欲の高い人間、いや機械の集まりだった。ーーー要するに『悪魔』である。

   

   

   

 

Reference >>

42.  ^  Do Androids Dreams of Electric Sheep?

           ^  book: 浅倉久志 訳 / フィリップ・K・ディック 作 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 ISBN-13: 978-4150102296

43.  ^  Philip K. Dick

44.  ^  Blade Runner by Ridley Scott[48]

45.  ^  Metropolice by Flitz Lang[49]

46.  ^  STAR WARS Episode1 The Phantom Menace by George Lucas

47.  ^  the theory of IDEA

48.  ^  Sir Ridley Scott

49.  ^  Flitz Lang