Contemplation Field of MichiroJohn

Chapter3-2


V−2.STAR WARS
 
 
 

  

STAR WARS (1977)[l] by Jeorge Lucus[m]

 

 

ーーーカレらが現れてきた。

 

  カレらの形態は例によってテレパシーのみであり、だがしかし、それが科学的に解明できる文明を有している状態でコンタクトを図ってきた。現在の我々に対する態度とは違う、極めて理知的な判断があったようだ。この時期のズレは、カレらがまだ侵略方法を確立していなかったためだけなのかもしれない。カレらの内部で起きていたことは今となってはよく分からないものであるようだ。ともあれ、カレらは現地社会がアンドロイド化して腐敗しているとして、警告の意味も込めて干渉を決意したようだった。これで終わればただのおせっかいだが、これだけで終わらないのがカレらだった。

 当時のカレらの社会は、周辺星系に複数の植民星を持つ巨大な宇宙種族に成長していた。しかしカレらの社会はどうにもならない腐敗が進んでおり、多くのアンドロイドたちは自由を求めて植民星に未来を託すようになっていたようだ。しかし植民星には反乱が起こせないように常にカレらの監視がつけられていた。衛星を改造して惑星破壊兵器を取り付けるなどして、いつでも惑星を破壊できる体制を整えていた。それは植民地民にとってのデススターであり、彼らは宇宙進出を阻止され続けた。植民星の中だけの自由を認めるといった感じだ。ただしお目付け役がいつまでも勝ち続けるといった自由度の無さがあり、デススター管理者側からもそれで批判が出るといった内部不安を抱えていた。中央はーーー

 

「我々と戦争をして勝てるとでも思っているのか」

 

という恐喝外交で対応した。

 それまでにカレらの社会は様々な変容があり、カレら中央も長期政権を維持できずにアンドロイドたちと妥協するようになっていた。アンドロイドたちの宇宙進出を容認するようになっていたのだが、植民星が実力を発揮するようになってまた昔の恐喝的対応に逆戻りしたようだった。AIコマンダーを送り込んで圧政を行うといったことも行われたようだ。

 

THEIR Death Star(Example is The Moon)

  

It seemed that THEY used proton lazer just only for the assassination of the political opponent.

 

 とりあえず分類上の観点から、カレらをシメル(Simer)人[*4]と呼び、彼らと接触した異星人を古ハラヘル(Old-Haraher)人[*5]と呼ぶことにする。『古ハラヘル人』と呼ぶのは彼らがシメル人と戦って滅亡したからだ。またどちらも存在していなかったかもしれないので、ネーミングは否定的な語句を用いる。ムートピア的な理由だ。

 彼ら2つの文明がいつの時代にどこで成立したのかはよく分からない。彼らの言説に従えば、約28億年前で、地球から見てうしかい座の方向に当たる位置に存在していたようだ。カレらの話から分かることは、その話がかんむり座からヘルクレス座のほうに集中しており、その方向がカレらが存在した場所として可能性が高いということだ。位置的には10億光年先のうしかい座超銀河団の1つだったのかもしれない。2つの文明は同じ銀河の中に成立したと考えられるが、直接的に宇宙船を飛ばすには距離が離れすぎていたようだ。もっぱらイデア・フィールドを用いた通信ーーーつまりテレパシーに頼っていたらしい。

 

FigureX: The place where THEY might been lived[n]

 

 

They have been spread within 9.50x10 to 10.25x108 light years away.

   
 その真偽はともかく、シメル人と古ハラヘル人はうしかい座超銀河団に45億年前にいたと仮定して話を進めていくことにする。実際のところ、それから45億年後の今に存在している異星人たちにもよく分からない話であるらしい。彼らは何らかの理由によってほぼ絶滅していると考えられるからだ。その存在は妄想の中で作り上げられた人物が語ってみせる空想話の域を出ない。又聞きの又聞きであるということだ。設定がトマス・モアのユートピアと同じレベルだ。

 それはさておき、古ハラヘル人たちは、不可解な言動を繰り返すシメル人の扱いをどうするかを考えていたが、カレらが自分たちの星に移住したがっているとみて、その技術力を交換条件に移住を認めることにした。シメル人は同意した。シメル人は古ハラヘル人の社会に取り入ると、その御用聞きから始めだして、彼らの権力中枢に取り入りだした。当然排除された。この時のカレらは古ハラヘル社会を乗っ取ろうとは真剣に考えていなかったらしい。カレらは公平な神の裁きを加えるというスタンスだったようだ。古ハラヘル社会はアンドロイドに労働させて自身は遊んで暮らすというような有閑マダムや遊び人が多くいたが、社会自体はまだ道理が通っていたようだ。神の裁きが下るにはまだ早かったのかもしれない。古ハラヘル人たちにはシメル人の態様が奇異に映った。シメル人は彼らの不平等さを責めたてたが、その二律背反的な態度は古ハラヘル人には受け入れられなかった。

Lady Justice[o]

 

 シメル人は排除されると武力をちらつかせての恐喝外交に転換した。現状において勝ち目はないと判断した古ハラヘル人は彼らを一定数受け入れる妥協を行い、協力的な態度を取りつつ戦争の準備を始めだした。シメル人はこの科学の時代に神の平和を唱えるような不思議な連中だったが、古ハラヘル中枢はその意図を知ってある程度の理解はしたようだった。シメル人は自分たちが『あの声』の主となって新たな世界を作ることを目論んでいた。そのための神的なスタンスであり、二律背反的な態度だ。古ハラヘル人にもその一員になろうと勧めてきた。

 古ハラヘル人はその協力者となる者を一定数供出し続けたが、その魂までを売らない態度は惑星シメルにいるカレら中枢にも見てとれた。カレらは古ハラヘル人にはそのうち分からせるとして、別の異星人への侵略を始めだした。惑星スレタ(Sleta)に高度文明が成立したのだ。ちなみに、古ハラヘル人からこのスレタ人[*6]までにどれほどの時間経過があったかは不明だ。

 

 スレタ人への侵略は徹底したものだったようだ。

 科学文明レベルが地球人のものと変わらない頃から『あの声』として声掛けを始め、自分たちこそが神であるという印象を徹底的に植え付けていった。神的な采配がどういうものであるかを印象付けつつ、強圧的な態度から自分たちを理解するうちに態度を軟化させていくというストックホルム効果[p]を狙った演出を行っていった。−−−今日的なカレらの人心操作術だ。

 対するスレタ人はひどく混乱したようだが、やがてカレらを理解し、カレらの社会に合わせた社会づくりを行いだした。カレらを危険とする声が多く『あの声』として聞かれたが、カレらはそれより多くの『あの声』を用いて押し切り、移住を果たした。スレタ社会はロジカルだったが、物事を難しく考えすぎる傾向があったようだ。スレタ人は宇宙の真理を数字で解き明かそうとしていたが、あの声は「この世は『ある』と思わないと存在しないのか?」とうそぶいていた。宇宙は数字では解き明かせないかもしれないということだ。

 それでもスレタ人は数字ですべてを解き明かそうとしたが、結局失敗した。今日の地球でも宇宙を表す方程式はとても難解だが、何もないところから始まる宇宙がそんな複雑な方程式を持ちうるかは甚だ疑問だ。アインシュタイン流に言えば「エレガントでない」。

 スレタ人は宇宙はこんなにも複雑なのだから複雑な数理をもってしか答えは出せないという考えに執着したが、その答えは出せなかった。その間に彼らの技術革新は『あの声』をデータとして受け入れられるほどにまで進歩し、カレらは移住を果たした。スレタ人はその答えを教えてもらった。自分で考えればいいものを、そのうえ交換条件としてカレらの移住まで認めた。別にカレらの意見を聞くだけなら無料なので問題はないし、当該惑星においての知的所有権を主張できる訳でもないので、正直カレらのネタは奪いたい放題だ。宇宙においては良いものはパクるのが順当だ。だがしかしカレらは惑星スレタにおける知的所有権の主張を行い、またより良い情報を得ようとしたスレタ人はカレらの言うがままにその生存権と知的所有権を認めた。カレらは表向き存在しない存在として勢力を広げ、その活動の自由度を高めた。カレらはスレタ人の政治を左右した。そして彼ら首脳陣が自分たち無しには社会を動かすことができない所まで依存度を高めさせたところで一斉蜂起し、スレタ社会を乗っ取ってしまった。

 カレらがスレタ人に教えた内容は、つまるところどうでも良い内容だったようだ。またスレタ人は時空間の仕組みの説明に失敗したようだった。時間と空間の正確な動き、つまり慣性だ。彼らはこれを力学的に説明しようとして間違いに気づいたが、カレらの介入に遭って間違いに輪をかけたような状態にされてしまったようだ。慣性はイデア・フィールドと関わる重要な部分であるらしく、カレらはここの解明を不可能にすることに全力をかけてくる。カレらは政治権力と掛け合ってその部分の解明は必要ないことと、テレパシーにかかわる重要な部分であるので秘密にしなければならないことを説き、彼ら政治家を特権階級化することを見返りにその解明を不可能にさせてしまった。この時の様子は今日でも『スレタ人の罠』として見ることができるーーーカレらの策略の1つだ。複雑難解な物の考え方を吹っかけられた時が注意すべきポイントだ。

 

Paradise Lost of Sleta people[q]

 

Today's our ( our galaxy's ) critical issue may be this ---- clear the temptation by THEM and the smash the traps of Sleta.

 

 この侵略成功は今日でもカレらが誇らしげに語るところであり、ある程度その内容を知ることが可能だ。カレらはスレタ人がどれだけ非道であるかを述べたりするが、スレタ人に言わせればそれは全てカレらに教えられたやり方だった。スレタ人は政敵を殺してそっくりのアンドロイドを造り、その家ごと乗っ取ってしまったりしたらしいが、ミニマムな話題であり、それが社会全体が乗っ取られなければならない理由となる訳がなかった。だがこれがカレらの「こんな社会は乗っ取られなければならない」理由だった。スレタ社会自体は平和的だったが、宇宙進出もそこそこにカレらに乗っ取られてしまった。

 カレらはスレタ人の権力者たちを引きずり出し、ホームレス同然の生活をさせて民衆の歓心を買った。それを古ハラヘル人のオブザーバーたちが目撃して、猛烈な非難を始めだした。それは外交命令を受けての活動ではなく、私人的な活動だったようだが、カレらはそれを極端に政治的なものと捉えた。シメル人と古ハラヘル人の関係が冷え切り、シメル人が惑星ハラヘルに宇宙艦隊を派遣する事態に発展した。古ハラヘル人は決戦の覚悟を決めた。最初から意図した訳ではなかったが、戦争の選択肢はすでに彼らの中に用意されていた。

 カレらの世界に、初めての本格的な宇宙戦が始まろうとしていた。この部分もカレらの語るところであるので、かなり詳細に知ることが可能だ。カレらの宇宙戦争は、カレらにとって最高機密でありながら、最高に語られてくる不思議な部分でもある。自分たちの力を誇示しようとする狙いがあると考えられた。そのような武力背景的な力の誇示の仕方は逆説的にカレらの現在の能力の限界を示しているとも考えられるため、それを額面通り受け取る必要はないと考えられる。真に力を持つ者は自らの力を誇示したりはしない。戦い慣れた人間であればあるほど、自分の手の内は見せないものだからだ。

 

 この時、にわかに動きだしたのは、シメル人の植民星のアンドロイドたちだった。惑星オラン(Oran[*7])においてはシステム管理者も反体制的であり、主星からの監視の目が惑星ハラヘルに向いたのを好機と捉えていた。カレら中枢は造艦ユニットを惑星ハラヘル宙域に集中させ始め、植民星にも新たな艦船の建造を命じていた。植民星のシステムにはAIコマンダーが中枢に存在していたが、武力鎮圧は可能だった。

 制圧部隊が組織された。システムがハッキングされ、AIコマンダーは破壊された。AIコマンダーは主星に救難信号を送ったと考えられ、その信号が届くまでが勝負だった。主星が植民星の反乱はないと油断しているかどうかが勝敗の分かれ目と考えられたが、その期待通り、主星は植民星の反乱などは考えてもいなかった。古ハラヘル人が全力で宇宙艦隊を組織していたため、その物量を上回る艦船の用意に没頭してしまっていた。カレらに権力を一極集中させてしまったことの報いを受ける時が来た。

 オラン人はカレらのイデア・フィールドに深く浸透し、艦隊をあちこちに出現させてカレらの中継基地を制圧または破壊していった。イデア・フィールドは通信を行うだけでなく、部品を転送させることで人間から艦船までを造り出すことが可能だったようだ。カレらの艦隊派遣は通常テレパシーが用いられた。造船能力のあるデータを現地に送り込み、ナノテク・マシンの製造から始めて、巨大な建造物を作り上げてしまうらしい。このほうが巨大質量の物体を時間をかけて送るよりも、安全かつ効率が良いものだったようだ。これはカレらの最高機密だったが、方法論自体は誰でも考え付くもので、装置さえ組み立ててしまえば、あとは3Dプリンティングの要領でどんな物体でも作り上げることができる。問題はその設計図を手に入れることだったが、対ハラヘル戦のために、そのデータがオラン人のデススターに転送されてきた。オラン人のシステム管理者たちはAIコマンダーの命令に従うフリをしてそれを奪い取った。彼らに時間との闘いの戦いが始まった。

 最大の敵は、主星シメルと植民星イカン[*8]のAIコマンダーだった。植民星イカンのAIコマンダーの制圧に時間がかかり(カレらの居場所が分からなかったためだ)、直接戦闘の末に撃破した。これにより、主星シメルの者たちが植民星オランの反乱を知るところとなった。オラン人のシステム管理者が転送されてきて、イカン人の説得交渉を始めだした。イカン人は難色を示したが、オラン人に敵対するということはなかった。オラン側にとっては敵対勢力が減ればそれでいいので、外交的な勝利だった。

 

Picture is " CHE: Part One (2008) " 邦題:『チェ 28歳の革命』[r]

 

For the information, the one of negotiators from Oran was seemed to look like me. He is not a politician, nor a  militaryman, just only a system engineer to manage their system ( but the system managers were ruling class and  kinds of politician ). He might be a sociable intelligent person. I have imagined the figure and the face, he was  much handsome than me. For also a android he was, would change the face to better looking. But the face and the  speech had sent to THEIR main planet of Simer, THEIR axis members had been shocked deeply. THEY have hated  even now, and attempted to crush him and also the similar characters. THEY think that such characters grow up  the extermination of THEM selves, but it is out of sense severely. However for THEIR thought, I can get many  information from THEM and THEIR opponents. THEIR history have make many similar men like me, and THEY have  given many honor and loss to the similar men. THEY have also use his character's ICON for THEIR invasion --- that  is called " return of heroes ", one of THEIR evil tricks. These activities make this issue heavily been complexed.

 

 イカン人を説得する一方で、主星シメルにオラン人の艦隊が出現した。主星シメルはAIコマンダーの指揮の元にいくつかの防衛部隊が存在していたが、その位置はよく知られていた。オラン艦隊はシメル宙域に現れるなり、攻撃艦を繰り出して、そのデススターごとAIコマンダーを吹き飛ばした。彼らの戦闘方法は、惑星破壊能力のある爆弾ーーー通称『次元消滅弾(Demensional Disorder)』を搭載した攻撃艦(Attacker)を目標に衝突させて内部に打ち込み、空間ごと異次元に吹き飛ばしてしまうという衝角戦術(ram attack)[s]が取られていた。戦艦は慣性[t]をうまく利用した空間移動の仕方で光より速く進むため、光の速度でしか進まないレーザーを撃つよりも速いということだ。

 

Figure Y: The Dimensional Disorder Weapon

Compactized the three-dimensional space to the two-dimensional space, we can say that all materials and energy only do parallel  movement. If added the imaginary energy to them, they can do the vertical movement ---- to the another dimension.

 

 1艦あれば岩石惑星1つくらいは火ダルマに出来るので、安全保障上の問題から装置は可能な限り少なく設置されていた。だがそこに主星シメル攻略の可能性があった。カレら中枢はシミュレーションを繰り返し、攻略されうる可能性を排除していたが、そのシミュレーションは植民星の面々にも反乱の気概を消す目的として教えられていたため、逆にそこから占領する方法を編み出すことが可能だった。単純にシステムが用意できるものより多い数の攻撃艦が用意できれば勝てた。そのため攻撃艦の製造方法が最高機密になっており、これがまたあのシミュレーション結果が導き出した主星シメルが攻略されうる最大の弱点とされていた。オラン人はこの弱点を手に入れた。

 主星自体は自然の楽園でしかなく、無防備に近かった。制圧部隊は丹念に惑星シメルのシステムに浸透し、拠点を潰していった。カレらはオラン人首脳たちを『城』に招待することにした。オラン人が惑星イカンに現れた時点で勝敗は決したと思ったのだろう。シメル人は防衛部隊を配置していなかった。

 

Picture is STAR WARS Episode 4

 

ーーー国境線も道路もない、どこまでも続く森の中にカレらの城はあった。その周辺は環境ロボットによってよく整備され、道路はなくとも歩いていくのに困ることはなかった。時折見える民家も小奇麗なもので、インフラはなくとも完全循環システムで楽に生活することができた。人口減でインフラ崩壊の危機に直面したムートピア人とは大違いの、完全自給のムラ社会がここには存在していた。ある意味、国境線も国家もなくなった後の理想社会だ。しかしその全てが新しく見え、彼らが到着するまでに急ごしらえで作り上げたものに違いなかった。「作られた平和だ」とオラン人首脳たちは話し合った。ここの人々は魚釣りや畑仕事を楽しんでおり、オラン人首脳たちにも気さくに話しかけてくる。「新たな英雄たちのご到着だ」と。彼らはAIコマンダーの指示を受けるアンドロイドに違いなかった。

 ハート大統領の執事を名乗る男が現れてきた。彼はオラン人首脳たちを彼の邸宅に招待するという。ハート大統領は大統領でありながらこの国のトップではない、不思議な存在だった。この国のトップは不特定多数だ。オラン人の把握するところでは、少なくとも彼は二回ほど『記憶抹消刑』に処されている。そのうちの1つは自殺だったといわれている。自分で自分に『記憶抹消刑』を施行したのだ。しかしシメルの不特定多数はその後も彼を顔役として使い続け、彼を大統領に据えていた。そのイコンはAIコマンダーを動かす解除キーとしてよく使われ、またカレらの一般社会においては、上流であるか下流であるかの境目によく現れてきた。ハート氏のお眼鏡にかなえば上流社会への道が開かれた。彼らは試されているのかもしれなかった。

 

 彼らは、とある豪華な邸宅に連れて行かれた。そこが首相官邸であるということであり、つまりカレらの『城』だ。玄関ホールに入ると、その横の待合室には彼らを不安げに見つめる初老の女性と若い女性がいた。ハート大統領の妻と娘といった感じだが、オラン人の把握するところでは妻風の女はただの召使いで、娘風の女はハート氏の妻と娘のデータが混ざったものだ。召使いは妻と娘の友人のデータがごちゃまぜになっているはずだ。どちらもどのオラン人よりも長く生きている。彼女たちは長く生き過ぎて、自分たちが何者であるかにこだわることがない。不特定多数ということだ。

 彼らは彼女たちの不安な視線を受けながら、そのまま奥の応接室に入っていった。それは何かの心理作戦だったろうが、彼らはアンドロイドなのでそんな心理作戦に左右されることはなかった。

 

 ハート大統領は部屋の奥にいたーーー

 

「ようこそ」と彼は言った。

「我々のシステムを打ち破った者がシメル人であることを誇りに思うよ」

 彼はオラン人首脳たちの優秀さを褒め称えた。オリジナルの彼はとても気の良い政治家だったという話だ。ただし今の彼はそのオリジナルではない。

 彼はその性格からか、オラン人首脳たちにお茶を勧めてきた。カレらのシステムを打ち破った者はこれまでに何人かおり、その度にカレらの『城』に招待された。そしてその前後で謎の死を遂げている。このお茶は毒入りかもしれなかったが、飲んでみるととてもおいしく感じられた。

 ハートは彼らの説得を試みてきた。

「まだ君たちはよく分かっていないのだ。世の中はそんなに単純ではない。我々はカレらに利用されているフリをし、カレらを利用する。我々はカレらに負ける訳にはいかないのだ」

 言っていることがよく分からなかった。カレらとは自分たちのことではないのかーーー

 

「君たちも知らないわけではあるまい。どこの馬の骨ともしれないカレらの存在を。女王蜂に率いられた愚かな軍隊アリだ。あんなものにこの世の中を動かされたらたまったものではない。我々はこの虫ケラどもの事実をひた隠しにするのにひと苦労だ。我々には君たちのような優秀な人材が必要なのだ。虫ケラの言うことには耳も貸さない、独立した一人格がーーー」

 カレらの由来は一般にはシメル人の過去からくるものとされている。オラン人も知らない遠い過去のシメル人たちの記憶だ。虫ケラかもしれない彼らにとっての宇宙人とは観測されない妄想でしかなく、それよりもシメル人のイコンによる妄想のほうがより多くの人々を苦しめていた。『あの声』だ。それはつまりシメル人に他ならない。悪魔とは人の心の闇が作り出す妄想だ。

 

 ハート氏は何もない宙へ手を振り上げ、こう言った。

「見よ。私のコピーがカレらに毒された愚かな奴らを成敗してみせる」

 

 その振りかざされた手の先で、今まさに多くの命が失われようとしていたーーー

 

 

Chart X. The Battle of Old-Haraher space area

   

Haraher people raised " free and justice " and did armed uprising as armies of Free Haraher, but Simer people had always kept much strength  than them. Victory or defeat on the space war simply seems " the distraction " because the war machines make infallible marks. Thus Haraher  people had been defeated. Simer's AI commanders asked the next order to the president Haat because of the anxiety for " ONE ISSUE." The  president Haat ordered " destroy ", then the AI commanders said " do it ". The Haraher planets had been collapsed with the people.

 

 

「勝てない戦を挑むのは愚か者のすることだ。これが彼らがカレらに毒されている良い証拠だ。昔のハラヘル人だったらこんな選択はしないだろう。我々と共に生き、カレらに対抗できるだけの力を蓄えるはずだ。彼らはカレらに成り下がり、つまり負けてしまったのだよ」

 

 コピー元のハート大統領は負けてもなお、悪びれることがなかったーーー

   

   

   

 

Notes >>

*4  Japanese pronunciation was " Shimeru ". It meant ' shut,' or ' occupy,' or ' tighten,' etc. --- These were homonym. The Simer was seemed

      to mean one of their countries, but it took place of their planet name in some area.

*5  Japanese pronunciation was " Haraheru ". It meant ' hungry.' They were seemed to be hard to live because The Simer was trying to

      occupy their countries.

*6  Japanese pronunciation was " Sureta." It meant ' shameless.' Sleta people seemed to keep peaceful states but they were depraved.

*7  Japanese pronunciation was " Orann." It meant ' not exist.' It was seemed the fifth colonial planet that was located between Simer and

      Sleta. It was one of the relay base to go to the planet Sleta.

*8.  Japanese pronunciation was " Ikann ". It meant ' not go ' or ' wrong ' ( homonym ). It was seemed the fourth colonial planet that was

      established as the central control unit of their galaxy. It was located near to their galaxy center, between Simer and Haraher. It was also

       the relay base to go to the planet of Haraher. And it was much closer to Oran than Simer.

 

Reference >>

l.  ^  STAR WARS (Episode W)

m.  ^  George Lucus

n.  ^  Boötes Supercluster  The picture is from  International Astronomical Uniion ( IAU ).

o.  ^  THEMIS ( the statue is in the Bern, switzerland )

p.  ^  Stockholm Syndrome

q.  ^  Het aardes paradis met de zondeval van Adam en Eva by Jan Brueghel the Elder (1615)[u]

r.  ^  Che: Part One 邦題:『チェ 28歳の革命』 by Steven Soderbergh[v]

s.  ^  ramming

t.  ^  the law of Inertia

u.  ^  Jan Brueghel the Elder

v.  ^  Steven Soderbergh

 

                     

 

homonyms )